地球上のミネラルは…
「大地」「海」「生物」を循環しながら、生命活動を支えています。
これらのミネラルは地球の長い時間をかけて
風化、流出、堆積、再供給を繰り返しながら
私たちの体内にも取り込まれています。
地球のミネラル循環の仕組み
1. 大地のミネラル (岩石・土壌) |
• 地球の地殻には、鉄、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれています。 • 風化や雨、地殻変動により、岩石や土壌のミネラルが溶け出し、植物に吸収されます。 • 植物は根からミネラルを取り込み、成長に活かします(例:カルシウムは細胞壁の強化に関与)。 |
2. 海のミネラル (海水・海洋生物) |
• 陸地から流れ出したミネラルは河川を通じて海へ運ばれます。 • 海水にはナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ヨウ素などが含まれています。 • 海洋生物はミネラルを取り込み、食物連鎖を通じて循環させます。 • 例:魚や海藻にはヨウ素やマグネシウムが豊富に含まれ、人間の甲状腺機能や神経機能に影響を与える。 • 一部のミネラルは海底に沈み、長い年月を経て再び陸地に戻る(地殻変動や火山活動を通じて)。 |
3. 大気と生物のミネラル循環 | • 海からの水蒸気が雲となり、雨となってミネラルを陸地へ運ぶ。 • 土壌のミネラルは植物に吸収され、動物が植物を食べることで体内へ取り込まれる。 • 動物の排泄物や死骸が分解され、ミネラルが土壌へ戻り、再び循環する。 |
人間の生命との深い関わり
地球のミネラルは、人間の生命維持に不可欠な働きを持っています。
1. 生命の起源と海のミネラル
• 人間を含む生命は、約38億年前の海で誕生したと考えられています。
• 人間の血液のミネラルバランスは海水と似た組成を持ち
体液の恒常性維持に関与しています。
〈恒常性維持機能とは、外部環境の変化にかかわらず、生体の内部環境を
一定に保つ機能です。ホメオスタシスとも呼ばれます。
恒常性維持機能が正常に働いている状態が健康であり、この機能が低下すると
病気を引き起こす可能性があります。
- 体温を一定に保つ
- 血圧を一定に保つ
- 血糖値を一定に保つ
- 体液の組成を一定に保つ
- 体内の水分量を一定に保つ
- 細菌やウイルスなどの異物から体を守る
恒常性維持機能を維持するために、自律神経、ホルモン、免疫などの
システムが連携して働いています〉
• ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルは
細胞の電気的バランスを保ち、神経伝達や筋肉の動きに重要な働きをしています。
2. 人体におけるミネラルの働き
(1) 骨・歯の形成 (カルシウム・リン・マグネシウム) |
• 骨の99%はカルシウムとリンで構成されており、マグネシウムがそれをサポート。 • 海産物や大地由来のミネラルが骨の強化に役立つ。 |
(2) 酵素の活性化と代謝の調整 (亜鉛・マグネシウム・鉄) |
• 亜鉛はたんぱく質合成や免疫機能向上に不可欠。 • マグネシウムはエネルギー産生に関与し、筋肉の弛緩を助ける。 • 鉄は血液の酸素運搬に必要で、不足すると貧血を引き起こす。 |
(3) 神経やホルモンの調整 (ヨウ素・ナトリウム・カリウム) |
• ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となり、新陳代謝を促進。 • ナトリウムとカリウムは神経伝達を円滑にし、心臓のリズムを調整。 |
(4) 体のpHバランスの維持 (ナトリウム・カリウム・カルシウム) |
• 血液の酸性化を防ぎ、健康な体内環境を維持する。 |
ミネラルと生命の共生関係
1. 地球のミネラルは風化・流出・堆積を繰り返し、陸地・海・大気を循環する。
2. そのミネラルが植物・動物・海洋生物を通じて生命に取り込まれています。
3. 人間の体はそのミネラルを利用して、骨の形成、酵素の活性化、神経伝達
ホルモン調整などを行っています。
4. 生命の維持には、地球規模でのミネラルの循環が不可欠であり
私たちの健康はその恩恵を受けています。
つまり、私たちは地球の一部であり
地球のミネラル循環と生命活動は切り離せない関係にあります。