プラスチックゴミ
日本では、年間約940万トンのプラスチックごみが排出されています。 そのうち、容器包装・コンテナーが約426万トンを占めています。さらに、1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は約32キログラムで、これはアメリカに次いで世界第2位の多さです。
また、世界全体では年間約800万トンのプラスチックごみが海に流出しており、日本からも毎年2万~6万トンが海洋に流出していると推計されています。
このように、日本はプラスチックごみの排出量が多く、特に容器包装の廃棄が大きな割合を占めています。そのため、プラスチックごみの削減やリサイクルの推進が重要な課題となっています。
ペットボトルゴミ
日本では、2022年度に約63.6万トンのペットボトルが販売され、そのうち約54.1万トンがリサイクルされました。 これにより、リサイクル率は約85%と、世界最高水準を維持しています。
リサイクルされたペットボトルの主な用途は、以下のとおりです。
• ボトル to ボトル(B to B): 約21.5万トン(前年度比27.1%増)
• シート: 約12.8万トン(前年度比0.8万トン増)
• 繊維: 約4.4万トン(前年度比2.1万トン減)
特に、ボトル to ボトルのリサイクルは、資源の有効利用やCO₂排出抑制の観点から理想的な手法とされており、今後さらに増加が見込まれています。
一方、リサイクルされなかった約9.5万トンのうち、約4.8万トンはリサイクル工程で発生する残渣、残りの約4.8万トンは可燃ごみ・不燃ごみとして処理されました。
これらのデータから、日本ではペットボトルの大部分が適切に回収・リサイクルされていることがわかりますが、さらなるリサイクル率の向上と、リサイクル技術の発展が求められています。
ペットボトルリサイクルに対する環境破壊について
ペットボトルリサイクルは資源の再利用を促進し、環境負荷を軽減する目的で行われていますが、プロセスの中で以下のような環境への影響が指摘されています。
1. エネルギー消費と温室効果ガスの排出 | • リサイクル工程でのエネルギー消費 ペットボトルの回収・分別・洗浄・加工(特に「ボトル to ボトル」リサイクル)には多くのエネルギーが必要です。この過程で化石燃料が使用されることが多く、結果として温室効果ガス(CO₂)が排出されます。 • 輸送に伴う環境負荷 リサイクルのために回収されたペットボトルを処理施設まで輸送する際に、トラックや船舶からのCO₂排出が発生します。 |
2. 水の使用と汚染 | • 洗浄工程での大量の水の使用 ペットボトルをリサイクルする際、洗浄工程で大量の水が使われます。この過程で油分や食品残渣が含まれる廃水が発生し、適切に処理されないと水質汚染につながる可能性があります。 |
3. リサイクルの限界 | • 劣化したプラスチックの再利用 プラスチックはリサイクルを繰り返すと品質が低下します。これにより、一部のリサイクルプラスチックは低品質な製品や廃棄物として処理されることになり、新たなプラスチックの製造が必要になる場合があります。 |
4. マイクロプラスチックの発生 | リサイクル過程でプラスチックが破砕される際、微細なプラスチック片(マイクロプラスチック)が発生し、これが水系や土壌に流出するリスクがあります。 |
5. リサイクルしないほうが環境に良い場合もあります。 | リサイクルは環境に優しいイメージがありますが、場合によってはリサイクルの工程そのものが新規製造よりも高い環境負荷を生むことがあります。そのため、リサイクルの有効性を評価するには、ライフサイクルアセスメント(LCA)という手法を使って、全体的な環境負荷を分析することが重要です。 |
解決策・提案
• 使用量の削減
リサイクルに頼るだけでなく、ペットボトルの使用を減らす取り組み(例: マイボトルの利用や詰め替え商品)が重要です。
• リサイクル技術の向上
エネルギー効率の良い技術や、リサイクルによる劣化を防ぐ技術開発が求められます。
リサイクルは環境保護の一環ではありますが、それ自体が環境負荷を完全に排除できるわけではないことを理解し、より持続可能な方法を模索する必要があります。