労働契約- 災害について –

企業(使用者)が従業員(労働者)に対して守るべき法律と責務

地震などの災害時において、主に以下のようなものがあります。
これらは労働者の生命・安全・健康を守るために重要になります。

1. 労働契約法 第5条
(安全配慮義務)
企業は労働者が安全に働ける環境を整えるために必要な配慮を行う義務があります。
• 災害発生時には、避難計画や安全管理体制を事前に整備し、従業員の安全を確保する必要があります。
• 災害後は、労働者が危険な場所で作業をしないよう配慮し、復旧作業時の安全対策も講じなければなりません。
2. 労働安全衛生法 労働安全衛生法は、労働者が安全・健康に働ける環境を確保するための具体的な規定を定めています。
• 第22条(危険防止措置)
災害時に労働者が被害を受ける可能性がある場合、企業はその防止措置を講じる義務があります。
• 第45条(緊急時の措置)
災害発生時には、迅速かつ適切に避難誘導や救助活動を行うことが求められます。
3. 災害対策基本法 企業は災害時に従業員の安全を守るため、事業継続計画(BCP)の策定や災害対応マニュアルの整備が推奨されます。
• 従業員の安全確保
企業は、地震などの災害時に従業員を安全な場所に避難させるための措置を講じる必要があります。
• 安否確認と情報提供
災害発生時には、従業員の安否確認を行い、必要な情報を提供する義務があります。
4. 労働基準法 災害時でも労働基準法が適用され、次のような事項が守られる必要があります。
• 休業手当(第26条)
地震などの災害で事業が停止した場合、企業の責任で業務が行えない場合には、労働者に平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。
• 長時間労働の防止(第36条)
災害対応時でも過労にならないよう、労働時間の管理が求められます
5. 雇用契約上の義務 • 就業規則や雇用契約書に基づき、企業は災害時の対応を事前に規定し、労働者に周知しておく必要があります。
6. 企業の具体的対応例 • 避難計画の整備:避難経路や緊急連絡網を事前に策定し、従業員に共有。
• 訓練実施:定期的に防災訓練を行い、従業員が安全に行動できるよう準備。
• 災害後の支援:従業員のメンタルケアや復旧作業の安全対策を実施。
• 在宅勤務の導入:災害が継続する場合、柔軟な働き方を導入。
参考になる法律やガイドライン

1. 厚生労働省のガイドライン(災害時の労働者保護に関する指針)
2. 内閣府の災害時対応指針(事業継続計画(BCP)の策定)

これらの法律を守ることで、企業は従業員の安全を確保するとともに法的リスクを軽減できます。

※厚生労働省 労働契約法

地震などの災害時における企業の対応について

以下のガイドラインや指針が策定されています。

厚生労働省のガイドライン

(災害時の労働者保護に関する指針)

厚生労働省は、自然災害発生時の労働者保護に関する指針を提供しています。
これには、労働基準法第33条(災害時の時間外労働等)の適用や、労働者の安全確保に関する事項が含まれています。
具体的には、災害時における時間外・休日労働の手続きや、労働者死傷病報告の提出義務などが定められています。

内閣府の事業継続ガイドライン

(BCPの策定)

内閣府は、企業が災害時にも事業を継続できるよう、事業継続計画(BCP)の策定と運用に関するガイドラインを提供しています。
このガイドラインでは、事業継続マネジメント(BCM)の概要、必要性、有効性、実施方法、策定方法、留意事項などが示されています。
2023年3月の改訂版では、テレワークの活用やオンラインでの意思決定、情報セキュリティー強化に関する内容が追加されています。

 

具体的な状況に応じた対策

企業が災害時に取るべき具体的な対策として、以下が挙げられます。

1. 事前準備 • BCPの策定: 事業継続計画を策定し、定期的に見直すことで、災害時の対応力を高めます。
• 従業員教育: 防災訓練や安全教育を実施し、従業員の防災意識と対応力を向上させます。
2. 災害発生時の対応 • 安全確保: 従業員の安全を最優先に考え、避難誘導や安全確認を迅速に行います。
• 情報共有: 正確な情報を収集し、従業員や関係者に適切に伝達します。
3. 災害後の対応 • 業務再開: 被害状況を評価し、優先順位をつけて業務を再開します。
• メンタルヘルスケア: 従業員の心身のケアを行い、長期的な健康管理をサポートします。

これらの対策を講じることで、企業は災害時にも従業員の安全を守り、事業の継続性を確保することができます。

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