水供給遅延の事例

能登半島地震(2024年)における給水遅延

給水遅延の原因

発生日: 2024年1月1日(M7.6)
主な被害地域: 石川県能登地方(輪島市・珠洲市など)

1. 被災地が過疎・山間部に多く、アクセスが困難 • 震源地周辺の 道路が寸断され、給水車の移動が極めて困難 だった。
• 特に珠洲市・輪島市などの沿岸部や山間部は孤立しやすかった。
2. 広範囲の水道管破損・設備被害 • 能登町の約90%の世帯が断水 するなど、被害が広範囲に及んだ。
• 配水池や浄水場の被害 も大きく、根本的な復旧が難航。
3. 給水車の供給が追いつかない • 道路が寸断され、給水車がたどり着けない地域が続出。
• 大規模な支援体制は整ったが、交通インフラが回復するまでの時間がかかった。
4.給水の復旧状況(参考) • 1週間後(1月8日):給水率 約15%
• 2週間後(1月15日):給水率 約30%
• 1か月後(2月上旬):未だ断水継続の地域あり

熊本地震(2016年)における給水遅延

給水遅延の原因

発生日: 2016年4月14日(前震 M6.5)、4月16日(本震 M7.3)
主な被害地域: 熊本県・大分県

1. 2度の大きな地震で水道インフラが壊滅的被害 • 4月14日(前震)で損傷した水道設備が、16日(本震)で完全に破壊された。
• 熊本市などでは 地下水を利用した水道網 が発達していたが、地震の影響で配水池や導水管が損傷し、給水不能に。
2. 山間部での土砂崩れ・道路寸断 • 阿蘇地域などでは土砂崩れが発生し、給水車が到達できない地域が多数。
• 特に南阿蘇村では 大規模な地盤変動により水源施設が壊滅的被害を受け、復旧に長期間を要した。
3. 震災直後の雨による影響 • 地震直後の大雨で地盤が緩み、土砂崩れが悪化。
• 水道管復旧作業が難航し、給水の遅れにつながった。
4.  給水の復旧状況 • 1週間後(4月21日):給水率 約40%
• 2週間後(4月28日):給水率 約70%
• 1か月後(5月16日):給水率 約90%
• 完全復旧まで:約2〜3か月(一部地域では半年以上

• 熊本市や阿蘇地域などでは、水道施設の損壊で約20万人が断水。
• 自衛隊が給水活動を行いましたが、特に山間部や孤立地域での配給に時間がかかり、十分な水が行き渡るまで数日を要しました。

東日本大震災(2011年)における給水遅延

給水遅延の原因

発生日: 2011年3月11日(M9.0)
主な被害地域: 東北地方(岩手県・宮城県・福島県など)

1. 津波による水道施設の壊滅的被害 • 津波によって 浄水場・配水池・ポンプ場が流出・損壊。
• 特に沿岸部では 水道設備そのものが消失 し、復旧には大規模な再建が必要となった。
2. 地震による広範囲の水道管破損 • 宮城県・福島県・岩手県で 約230万世帯が断水(発災直後)。
• 液状化現象も発生し、千葉県浦安市などでは地割れによる配管損傷が深刻だった。
3. 道路寸断による給水活動の遅れ • 津波・地震で道路が寸断 され、給水車の到達が困難に。
• 雪や寒波の影響 もあり、断水地域では長期間の給水制限を余儀なくされた。
4.  給水の復旧状況 • 1週間後(3月18日):給水率 約30%
• 1か月後(4月11日):給水率 約80%
• 完全復旧まで:半年〜1年以上かかった地域もあり(特に津波被災地)

• 被災地では、津波や地震の影響で広範囲での水道施設が破壊され、長期間の断水が発生。
• 自衛隊や各自治体が給水車を派遣しましたが、道路の寸断や燃料不足の影響で配送が遅延。
• 海外からの救援物資(水や食品)は届きましたが、空港や港湾設備が被害を受け、被災地に運搬されるまでに時間がかかりました。

阪神・淡路大震災(1995年)における給水遅延

給水遅延の原因

発生日: 1995年1月17日(M7.3)
主な被害地域: 兵庫県神戸市・淡路島など

1. 広範囲での水道管破損 • 地震による揺れと液状化現象で 約100,000か所以上の水道管が破損。
• 神戸市では 全世帯の約90%が断水 する事態となる。
2. 復旧作業の困難さ • 神戸市は人口密集地で、水道管網が複雑だったため、復旧作業が難航。
• 地震による道路の寸断・倒壊により、作業員や資材の移動が困難。
3. 給水車の不足と輸送の遅れ • 全国からの給水車が集まったが、道路が寸断されており到着が遅れた。
• 特に震災直後は給水拠点の整備が追いつかず、一部地域では給水に数日〜1週間以上かかった。
4.  給水の復旧状況 • 1週間後(1月24日):給水率 20%
• 1か月後(2月17日):給水率 60%
• 完全復旧まで:3か月以上

 海外の事例

ハイチ地震(2010年)
• ハイチでは、地震後に水道設備が壊滅的なダメージを受け、多くの人が汚染された水を飲んだことでコレラが流行。
• 国連やNGOが緊急対応を行いましたが、物資が空港で滞留し、救援物資の配布が遅れる問題が発生しました。

その他の課題

• 物資輸送のインフラ問題
道路や港湾の損壊により、救援物資が被災地に届きにくくなる。
• 情報伝達の不足
被災者が給水所や配布場所の情報を得られず、水を受け取れない事態も発生。

災害時に備えて重要なポイント

1. 家庭での備蓄を徹底する。特に長期保存可能な飲料水を確保。
2. 地域の防災訓練や自治体の給水計画を確認しておく。
3. 自衛隊や自治体、NGOが提供する支援の遅延を見越して、自分たちで数日分の水を用意する。
4.水のソリューションシステムの活用など、雨水や河川水を飲用可能な水にする手段を準備しておく。

 

災害時には自治体や国の支援に頼りつつも、自力で数日間を乗り切れる準備が求められます。

 

大地震:断水被害と復旧目安についての内容は、コチラ

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